研究課題/領域番号 |
04671539
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70107762)
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研究分担者 |
三輪 史朗 (財)冲中記念成人病研究所, 所長 (40034954)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 溶血性貧血 / 赤血球酵素異常症 / ホスホグリセリン酸キナーゼ異常症 / 変異酵素 / 単一塩基置換 / 単一アミノ酸置換 / 構造異常 / 機能異常 |
研究概要 |
赤血球酵素異常による遺伝性溶血性貧血は赤血球機能を保つうえで重要な代謝系酵素の質的ないし量的な異常により起こる疾患である。われわれは原因不明の遺伝性非球状性溶血性貧血症例について酵素学的検索を行ない、現在までに11種183家系215例の赤血球酵素異常症を発現している。今年度は新たに発見した慢性溶血とミオグロビン尿を伴ったホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)異常症の一例、PGK Shizuokaの構造異常を決定した。方法は患者全RNAを鋳型としてPGKcDNAの3'-非翻訳領域に相補的なプライマーを用いてcDNAを合成し、2組のプライマーを用いたポリメラーゼチェインリアクション(PCR)法で全翻訳領域を増幅し、ジデオキシ法にて塩基配列を決定した。患者PGKcDNAの塩基配列を正常と比較したところ、翻訳開始部位より第473番目のグアニンからチミンへの単一塩基置換が明らかになった。この変異により第157番目のグリシンがバリンに置換する。ゲノムDNA上でこの塩基置換により生ずるBst XIサイトを検討したところ、母はヘテロ接合、父と兄は正常である事が明らかになった。PGK異常症は現在迄に6種の変異酵素において単一アミノ酸置換が証明され、変異酵素の構造異常と機能異常の関係が明らかになっている。すなわち、酵素の活性基に重大な影響を及ぼす部位の異常では溶血性貧血、精神・神経症状は重篤で、活性基に影響を及ぼさない酵素タンパク表面の異常では臨床症状は認められない。今回明らかにしたPGK Shizuokaのアミノ酸置換の部位はN-ドメインを構成するβストランド直前で、等電点変化は殆ど無いが、より側鎖の大きいアミノ酸への変化である。このアミノ酸置換は酵素活性には影響を及ぼすものの、酵素の安定性には変化を来たさず、軽度の溶血とミオグロビン尿を呈するものの、精神・神経症状を伴わないものと考えられる。
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