研究概要 |
ガンマ10の極小磁場アンカー部のイオン加熱は,セントラル部で励起されたアルベン速波が楕円形の磁力管による空間変調を受け,アンカー部でアルベン遅波にモード変換することが最近明らかになった。 本研究の主目的は,アンカー部イオン加熱とセントラル部イオン加熱を独立に調節することにより,広範囲のプラズマベータ値を実現し,タンデムミラーの巨視的安定性限界を実験的に求め,フルート不安定性理論と実験結果を比較することである。 研究結果をまとめると, (1)アンカー部ベータ値を速波励起用高周波電力を変調することにより変化させ,巨視的安定性限界を求める方法を確立した。 (2)セントラル部のイオン温度(圧力)の非等方性を反磁性ループアレイから推定すね方法を確立した。 (3)巨視的安定性限界はセントラル部とアンカー部のベータ比がある閾値以下であればよいことが実験的に求められた。 (4)限界ベータ比は圧力非等方性に依存しており非等方性が強くなると限界ベータ比が大きくなることが分かった。 (5)非等方性を考慮したフルート不安定性理論解析を行い,実験結果をよく説明できることが分かった。非等方性性が強くなると磁力線方向の高温イオンの分布がピーキングし,悪い曲率領域の圧力が減少し,安定性が増大するためと考えられる。 (6)片方のアンカー部ベータ値のみが変調することにより,両アンカーのベータ値の和がある限界値以上なら,安定性が保てること,即ち,平均極小磁場安定化が実証された。 (7)不安定性の同定のため,静電プローブおよびマイクロ波散乱/反射法による密度揺動測定がなされ,安定性限界付近でフルートモードが増大することが分かった。 (8)径方向電場が増大すると,正,負にかかわらずセントラル部の揺動が増大し蓄積エネルギーが減少することが観測されたが,エンドプレートバイアスによる電場制御で抑制できることを実証した。
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