研究概要 |
磁気流体(MHD)プラズマのエネルギー緩和の理論としては,J.B.Taylorの理論が磁気ヘリシティ保存の仮説を使った理論として知られているが,近年,このTaylorの理論に合わない実験結果や3次元計算機シミュレーションの結果が報告されて来た。本研究代表者は磁気へリシティを使わない新しいエネルギー緩和理論を組み立てて来たが,今年度は理論的な一般化を更に行った。その結果,一般の散逸性非線形力学系の緩和状態はその力学系の散逸構造のアトラクターで表わされ,そのアトラクターはその力学系の散逸力学オペレータL^D_i(q^^→)の固有関数としてL^D_i(q^^→)=-lqi/2で表わせる事を導びいた(論文投稿中)。抵抗分布々を持つMHDプラズマでは,このアトラクターは〓×(7g^^→)=2B^^→/2で表現される事から,3次元MHDコードによる計算機シミュレーションを行い,理論の検証を試みた。この3次元MHDコードのプログラム開発とシミュレーションの実行には大量のデータ処理と蓄積が必要であるため,光磁気ディスク装置とDATシステムを購入して現有のワークステーションシステムの機能を補強した。この補強したワークステーションシステム等を使ってシミレーションデータの可視化のプログラム開発も行い,新しい理論によるアトラクター〓×(7g^^→)=2B^^→/2が実現する事を検証する計算機実験を行った。その結果,MHDプラズマが時間と共にこのアトラクターに収束して行く事を実証するシミュレーションデータを得る事が出来た(2つ目の論文にして投稿中)。3次元MHSシミュレーションにおけるエネルギー緩和と自己組織化の過程を更に詳しく分析し,自己組織化の物理的機構を解明するための研究を続けている。
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