(1)玄米テンペの調製:玄米を酢酸バッファーpH5.0に2時間浸漬したのち120℃、20分間オートクレーヴで滅菌する。50゚〜60℃まで放冷後リゾープス オリゼの胞子粉末を加えて混合し、35℃で7時間、次いで31℃で3日間、表面が薄く白い菌糸で覆われるまで培養して玄米テンペを調製し、凍結又は凍結乾燥して以下の実験に用いた。 (2)玄米テンペの調理:玄米テンペの調理法としてはオカラテンペと同様にそのまま油で揚げるか、ミンチ状でハンバーグ等に混ぜて用いる調理法が最も適していた。 (3)フィチン酸の定量:玄米中及び玄米テンペ中のフィチン酸をLattaら(1988)の方法で定量した結果、玄米中に4.38%存在したものが玄米テンペ中では0.38%に減少しており、リゾープス菌が強力なフィターゼを産生していることを示しており、玄米食の欠点であった反栄養因子フィチン酸の除去に有効であることが示された。 (4)玄米テンペからのフィターゼの分離精製とその性質:玄米テンペからアセトンパウダーを調製し、粗酵素液を抽出し、DEAE-トヨパールによるイオン交換クロマトグラフィーを行い、今回購入したマイクロプレートリーダーを用いて各画分のフィターゼ活性を測定し、活性画分について更にTSK-GEL G-3000SWXLを用いたゲル瀘過、BAKERBOND-HIPによる疎水性相互作用クロマトグラフィーによる精製を行なった。その結果本酵素は分子量約10KD、至適PH5.5、至適温度55℃であった。目下玄米以外のフィチン酸含量の高い穀類、豆類のフィチン酸除去のための前処理用フィターゼを大量生産するために、オカラテンペからの酵素標品の調製を手がけている。
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