研究概要 |
平成4〜6年度の研究成果は以下のようである。 1.タイ東北地区ウボンラチャタ-ニ-県3882標本のうち男子で18.8%,3772標本の女子のうち25.9%のODが見出された。 2.上記のうち学年性別にみると低学年では男子は女子より陽性率が高く、中学生の年代になると女子が男子より大幅に高くなるという逆転がみられる。年令の上昇に伴って女子は急激に陽性率があがり、15歳(中3)にピークに達する(40%),一方男子は12歳の40.9%がピークで以降しだいに低下し15歳では18.8%となる。 3.都市と農村を比較すると農村の方がOD症状は高頻度で出現している。これはタイ東北農村が低栄養でかつ他の不健康な条件が多いためと考えられる。 4.日本人児童生徒の3年にわたる統計的観察によると,1960年代では数パーセントから10パーセントの陽性率を報告したものが多かった。ところが平成初年度の報告では30パーセントから40パーセントに及ぶものが多くなり、我々の調査でも、小学生30パーセント中学性40パーセントから50パーセントにまで及んだ。しかし平成4,5年度に行った全国調査では、激減して、小学生で1〜3パーセント,中学生13〜17パーセント,高校生13〜17パーセントとなった。この背景には児童をとりまく生態学的条件として健康教育、テレビばなれ、スポーツ活動の興隆、食生活の改善なども考えられよう。 5.ライフスタイルの乱れ(夜ふかし,運動不足,朝食ぬきなど)が起立性調節障害の原因の1つとなっていることが示唆された。 ODをスクリーニングする診断基準を判別分析によって検討したところその信頼性を確認した。
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