研究概要 |
1.フィチン酸の分解に及ぼす無機Pの影響(3週間給与の場合)[平成4年度研究実施計画I]:(1)フィチン酸分解率は食餌中に無機Pが共存すると顕著に低下した。また、フィチン酸による吸収阻害作用はCaに対してはあまり強くなく、Mgに対してはかなり強いものであることも認められた。これらは我々の以前の報告の結果^<1)>と一致した。(2)P源としてフィチン酸が用いられると、右大腿骨の総重量と、そのCa、MgおよびPの含量が減少することが明らかになった。 2.フィチン酸の分解に及ぼす無機Pの影響(1日間給与の場合)[平成4年度研究実施計画IIおよび同5年度研究実施計画1]:上記の結果と異なり、19日間標準食(フィチン酸を含まない)で飼育した後に、夜間1日だけ実験食(フィチン酸含有食)を与えた場合、無機Pの共存はフィチン酸分解率の低下を引き起こさなかった。すなわち、実験食を長時間与えた場合に認められた共存無機Pによるフィチン酸の分解率の低下は生体側の適応によるもので、フィチン酸分解酵素の無機Pによる生成物阻害のためではないことが示された。 3.フィチン酸の分解に及ぼす各種食物繊維の影響[平成5年度研究実施計画2]:(1)食物繊維の種類に縒り、消化管各部位の内容物および管壁の重量、小腸の長さ、および糞のレベルでみたフィチン酸の分解率が異なった。(2)盲腸内容物重量と、糞のレベルでみたフィチン酸分解率はともに、グルコマンナン群>ペクチン群>カラギ-ナン群>セルロース群、の順に大きく、両者の間には、正の相関関係が認められた。(3)糞のレベルでみたフィチン酸分解率とCa,MgおよびPの見かけの吸収率との間には相関関係がなかった。 ^<1)>Miyazawa,E.and Yoshida,T.:Nutrition Research,11,797-806(1991).
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