研究概要 |
高齢軽度障害者に焦点をあて、少しでも快適な衣生活を送るには、どんな衣服が望ましいかを探ることを目的として研究を行った。 調査対象者は特別養護老人ホーム、老人ホーム、在宅の高齢者である。 障害者の障害の程度は、片手又は半身麻痺、足が不自由、神経痛、痴呆等で、寝たきりの人は省いた。 調査方法は対面聴取りである。 調査内容は着用実態、着用衣服の購入実態、好まれる衣服のデザインと色、衣服着用に関する意識 着用実験は前明きの留め方6種類、布を3種類変化した衣服を試作して、7人の被験者を対象に行った。また、市販品の老人用介護衣服13着を購入し、学生対象に着用実験を行った。 その結果、着用衣服の満足度は高い。衣服の購入は施設、本人、家族の順である。平均着用枚数は上衣が冬2,8枚、夏1,6枚、下衣の冬は2,8枚、夏2,6枚である。好みの衣服デザインは前明き、2cmのボタン留め、普通袖で袖口はゴム入り、衿はショールカラーやボウタイ、ウエスト部分は総ゴム入りである。上衣、下衣共に前脇にポケットを付ける。色の嗜好は、男性はグレー、茶、緑系の順で、女性は紫、グレー、茶、青系の順である。衣生活に対する意識は高い。 衣服を着替えることが生きがいにならないかと考えたが、入浴の際に着替える現状や、怠惰になりがちな老人、着替えによる寮母の労働過剰など大きな問題がある。しかし衣服に関心を持ち、着替える事で、老人の生活に変化を与えることが垣間見られており、画一的でなく、自立を促し、一人一人に合ったきめ細やかな介護をすすめて行くことが大切である。
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