研究概要 |
40〜76歳の女性65名(運動習慣がある者37名:51.5±9.3歳,運動習慣のない者28名:49.5±7.2歳)を対象に,二光子骨密度測定装置ルナーDPX(ルナー社)を用い全身および部分骨密度,脂肪,筋量などを測定した。さらに,トレッドミルによる負荷漸増法で最大酸素摂取量(VO_2max),最高心拍数(maxHR)を測定した。運動負荷前の空腹安静時,運動直後,30分後に採血し血中乳酸(LA),中性脂肪(TG),HDL-コレステロール(HDL-C),LDL-Cなどの血液成分濃度を測定した。以上の測定値をもとに,骨密度,筋量,VO_2max,maxHRおよび血中脂質濃度(TG,HDL-C,LDL-C)と加齢および運動習慣の有無や運動種目(ジョギング,水泳,サイクリング,ダンス,卓球等)との関連を調べた。 運動群(n=37),非運動群(n=28)あわせて年齢との相関を調べると,VO_2max(γ=-0.433),maxHR(γ=-0.791),全身骨密度(γ=-0.566),筋量(γ=-0.331)との間に有意な負相関が認められた。一方,血中脂質や体脂肪量と年齢変化との間には有意相関はなかった。次に,5歳刻みで加齢による運動習慣の有無の差による影響を調べた。その結果,VO_2max,maxHRおよび最高乳酸濃度(LAmax)は運動群が有意な高値を示す年代が多かった。しかし,骨密度や筋量,血中脂質レベルには両群間に有意差がなかった。これは,運動習慣があるといっても個々人の運動量が異なるためと思われた。そこで,運動習慣の有無を無視して年代別(5歳刻み)にVO_2maxの多寡に基づいて2群に区別して比較してみた。その結果,骨密度や血中TC濃度には有意差はなかったが,VO_2max高値群の筋量が多く,TG,LDL-C濃度が低くHDL-C濃度が高い傾向にあった。全対象65名をVO_2maxに基づいて2群に分け比較すると,高VO_2max群は,全身,部分骨密度が高く,体重に比し筋量が多いことが示された。また,HDL-Cが高く,LDL-C濃度が低い傾向が認められた。
|