研究概要 |
本研究は、トレーニング負荷強度によって運動時の末梢循環系適応がどのように異なるかを検討し、至適トレーニング負荷を明かにすることを目的としている。トレーニングには疲労困憊にいたる動的掌握運動を用いた。負荷は最大筋力の30%(30%MVCトレーニング)と20%MVC(20%MVCトレーニング)、テンポは60回/分とした。 1、30%MVCトレーニング:年齢18-19歳女性を2群にわけ、トレーニング群(T群、N=9)と対象群(C群、N=9)とした。週5回、6週間のトレーニングの結果、exhaustionに到るまでの回数はトレーニング群で有意に増加した。また、5kgの重りを与えて3分間作業を行わせた時の前腕血流量(Venous Occlusion法)も、T群では運動終了直後、有意に減少し、運動後の回復率は有意に高くなった。しかし、exhaustion作業時の血流量には有意差が見られなかった。T群の心拍数、血圧およびC群のすべての項目にはトレーニングによる有意な変化は見られなかった。 2、20%MVCトレーニング:年齢20歳の健康な成人女性5名の右腕をトレーニング肢(T肢)、左腕をコントロール肢(C肢)として、週5日、30日間のトレーニングを行わせた。最大筋力はトレーニング前後で有意差が見られなかったが、exhaustionまでの作業回数は、T肢で大きな増加を示した。トレーニング前後に最大筋力の10,20,30,40,50,60%MVC強度、60回/分テンポの掌握運動を各負荷30秒間づつ行わせ、心拍数、血圧、前腕血流量(Venous Occlusion法)を測定したところ、前腕血流量の最高値は、T肢では24.3±3.1ml/100ml/minから31.1±3.2ml/100ml/minに有意(p<0.05)に増加したが、C肢では有意差がなかった。 3、以上の結果から、30%MVC負荷では血流供給能より一定血液からの酸素の抜き取りが、20%MVC負荷では血液供給能の改善のあることが示唆された。
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