研究概要 |
1.73種の放線菌より調製した染色体DNAについて、vbrAをプローブとするSouthern hybridizationを行った結果、53菌株が明瞭なシグナルを与えた。従ってvbrA遺伝子は、放線菌に広く分布していると結論される。 2.大腸菌では、vbrAと高い相同性を示す遺伝子としてnusG遺伝子がある。大腸菌染色体DNA上、このnusG遺伝子のすぐ下流には、リボゾームタンパク質L11をコードする遺伝子rplkが存在する。また、vbrAを取得した元の菌であるS.virginiae染色体DNA上でも、vbrAのすぐ下流にrplkが存在することも判明している。そこで、vbrA-rplKという遺伝子配列が放線菌でも共通に存在するかどうかを調べるため、rplKをプローブとしたSouthern hybridizationを行ったところ、上述の53菌株中、48菌株においてrplKがvbrAに隣接するという結果が得られた。従って、vbrA-rplKという遺伝子配列は放線菌においても極めて普遍的に存在する事が判明した。 3.73種の放線菌について、VB活性およびIM-2活性の検定を行った結果、VB活性については、S.lincolnensis,S.antibioticus,S.griseus,S.clavuligerus,S.longwoodensis,S.phaeofaciens,S.toyocaensis,S.celluloflavus,S.sclerogranulatus,S.tubercidicusの10菌株が、又IM-2活性については、S.canus,S.lividus,S.narbonensis,S.sioyaensis,S.celluloflavus,S.sclerogranulatus,S.tubercidicusの7菌株が生産能を示すことが明らかとなった。 4.rbrA類縁遺伝子を保有すると考えられる53菌株について、その無細胞抽出液を用いて、VB結合活性の有無を検討した結果、S.alanosinicusをはじめとする15菌株に明瞭なVB結合活性が認められた。しかし、VB或いはIM-2活性物質生産能との間には、顕著な相関関係は認められなかった。 5.放線菌においては、遺伝的に最も解析が進んでいるS.coelicolor A3(2)より、vbrA遺伝子をクローン化し、そのDNA塩基配列を決定した。
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