研究課題/領域番号 |
04680206
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代謝生物化学
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
若林 繁夫 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室長 (70158583)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | Na^+ / H^+ exchanger(NHE1) / 細胞内pH / 細胞内Ca^<2+> / カルモデュリン / 増殖因子 / 浸透圧 / H^+交換輸送系 / 細胞増殖因子 / 浸透圧刺激 / タンパク質リン酸化 / 部位特異的変異導入 / 細胞内制御因子 |
研究概要 |
Na^+/H^+交換輸送体(NHE1アイソフォーム)は様々な増殖因子シグナルおよび浸透圧変化や細胞伸展刺激等の機械的シグナルに反応して活性化される。本研究では、活性化の分子機構を明らかにするため、カルモデュリン(CaM)と輸送体との相互作用を検討した。その結果、i)NHE1は高親和性Ca^<2+>/CaM結合タンパク質の一つであること、ii)輸送体細胞質ドメインのアミノ酸残基636-656(A)と656-691(B)の領域にCaMに対する親和性の異なる(それぞれ20nM,350nM)二つの結合部が存在することが明らかになった。CaM結合部位の生理的役割を明らかにするため、A領域に変異を導入しCaM結合能を失ったいくつかのタンパク質を繊維芽細胞で発現させてその機能を調べ、次の結果を得た。変異導入により、i)交換活性のpH_i感受性が増加し、タンパク質が恒常的に活性化状態になること、ii)Ca^<2+>イオノフォア添加に伴う細胞内Ca^<2+>上昇による活性化が消失すること、iii)増殖因子および高浸透圧刺激による細胞内アルカリ化の程度がそれぞれ50%,80%阻害されることがわかった。以上の結果は、CaM結合部位はそれ自身"pHセンサー"に対して阻害作用があり、細胞内Ca^<2+>増加によるCa^<2+>/CaM結合に伴って阻害作用が解除され、その結果輸送体が活性化されるというメカニズムによって説明できる。さらに今回の結果は、このメカニズムが細胞外シグナルによる活性化に関与することを示唆している。恐らくCaMは細胞外の異なったタイプのシグナルを輸送体の"pHセンサー"に伝達する重要な"transducer"の一つとして機能しているであろう。
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