研究概要 |
超ウラン核種の消滅処理の定量的検討の基礎となる中性子核データの評価・検証を行うための、核分裂理論モデルの改良とそれに基づく計算コードの開発、および重要な核種に関する評価計算を行った。 1.核分裂中性子スペクトルの評価: 申請者が以前に提唱した「非等温Madland-Nixモデル」を発展させて正確なスペクトルの評価を行うシステムを作成した。主な改良点は次の通りである。(1)核分裂片質量分布の系統式を用いて核種ごとの平均核分裂片を決定した、(2)準位密度パラメータaの簡単な直線式a=A/C(A:質量数、C:定数)では殻効果を正確に考慮できないので、lgnatyukモデルを採用して核分裂片の殻効果を考慮した準位密度を求めた、(3)核分裂の全解放エネルギーを、不安定核に対しても良好な値を与える橘らの質量公式に基づき計算した、(4)核分裂片からの中性子放出を計算する際の逆過程断面積のエネルギー依存性を考慮した、(5)高次核分裂が可能なエネルギー領域における全核分裂確率を1次〜4次核分裂の成分に分解し、各段階で核分裂中性子スペクトルを計算した。この方法を用いて^<233.235.238>U、^<239>Pu、^<237>Np、^<241>Am、等のスペクトルを計算した。 2.核分裂中性子数のエネルギー依存性の解析: 超ウラン元素の平均核分裂中性子数νを中性子エネルギーの関数として計算する機能を上記コードに組み込んだ。これをアクチニド核種の評価計算に適用した。計算結果は入力する中性子結合エネルギーに左右されるので、その選択に留意する必要がある。 3.核分裂断面積の解析: 高いエネルギーにおける核分裂断面積は(n,f),(n,nf),(n,2nf)等の多段階の成分から構成されるので、全核分裂断面積を格段階の成分に分解する計算コードを作成した。これは上記1.(5)に応用された。
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