研究課題/領域番号 |
04680265
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
平井 光博 群馬大学, 工学部, 助教授 (00189820)
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研究分担者 |
滝沢 俊治 群馬大学, 工学部, 教授 (50008158)
矢吹 貞人 群馬大学, 工学部, 教授 (50011581)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1993年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 小角散乱 / 溶液散乱 / 放射光 / X線 / 液晶 / 高分子 / 磁場配向 / 相転移 / 磁性流体 / 巨大分子 / 中性子線 |
研究概要 |
生体高分子構造の研究において、NMRによる分子量数万程度の分子の溶液中での構造決定が実現しつつある現在、X線、中性子小角散乱法が、他の構造決定法と相補的であるためには、新たな手法の開発が必要である。溶液散乱法では、一般に分子の無配向性による等方性散乱によって、得られる構造情報は動径方向の一次元的なものとなるが、もし、磁場、電場等により分子の配向散乱実験が可能となれば、構造の異方性決定が容易になり、より多くの分子構造に関する知見を得ることができる。本研究の目的は、異方性散乱の測定から分子の高次構造のモデリングを容易にし、生体高分子の構造情報を増大させるための新たな溶液散乱実験法を、近年、工業材料として多種の実用に供せられている磁性流体等を用いて検討することにあった。磁性流体自体が、新しい材料であるためこの研究に関連した研究は国内においては本研究が始めてである。海外に於ては、磁性流体の物性研究は1980年代半ばからなされており、磁性流体・ラテックス分散系の静磁場下での分散状態の変化(規則配列)に関する報告もなされている。さらに、1990年には、磁性流体を用いた磁場配向散乱実験が報告され、定常低磁場下(<ltesla)でも磁性流体を用いると溶質分子の高い配向が可能であることが示された。しかしながら、配向の機構、条件等は、未解決である。このような新たな手法の可能性を模索するべく、各種生体分子試料(球状及び円柱状植物ウイルス、球状及び繊維状蛋白質)、合成高分子試料(高分子ゲル)及び磁性流体試料の、定常磁場下での配向実験を行った。溶質分子の分散状態、配位構造の有無、磁場配向の濃度依存性等をX線小角散乱装置及び光弾性・準弾性散乱装置により測定した。実験には通常のX線源の他に、特に磁場下での生体分子の動的配向散乱実験には高エネルギー物理学研究所放射光施設酵素回折計を用いた。その結果、磁場配向の過渡的過程を、濃度及び磁場強度をパラメータとして、散乱パターンの経時変化として観測することに成功した。この実験には放射光X線光学系に合わせ設計、作成した小型強力永久磁石(磁場と入射X線の方向:垂直、平行の両方可能。Nd-Fe-B系の永久磁石[N42H:Br=13.2kG,BHmax=42MGOe]使用。磁場強度可変:2tesla[8mm gap]〜0.7tesla[35mm gap]、磁場空間:4×10×10mm^3[ΔB/B<4.0×10^3]、総重量:13.5kg)を用いた。特殊な設計と大強度放射光X線源の利用により、このような測定が可能となった。市販の磁性流体には水分散性・安定性・粒系分布に問題があることが分かったため、合成も試みた。また、濃厚溶液で液晶構造をとる系では、磁性流体非存在下においても磁場印加に対して一軸方向に著しい協同的配向を起こすことが分かった。加えて、合成高分子の電磁場下での構造応答の観測も行い、興味深い結果を得た。
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