研究課題/領域番号 |
04680278
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
嶋本 伸雄 国立遺伝学研究所, 遺伝情報研究センター, 助教授 (20127658)
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研究分担者 |
永井 宏樹 国立遺伝学研究所, 遺伝情報研究センター, 助手 (80222173)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1992年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 大腸菌RNAポリメラーゼ / 1分子ダイナミクス / DNA・蛋白質相互作用 / スライディング / プロモーター探索 / 転写開始 |
研究概要 |
転写と転写調節の機構を動的に理解するための強力な手段となり得るものに、1分子の転写複合体の形成、運動、分解を直接観察する1分子ダイナミクスがある。RNAポリメラーゼや転写調節因子を1分子で観察できるように蛍光ラベルして、予め決まった方向に配向させたDNA分子との相互作用を蛍光顕微鏡で観察することが可能で、プロモーター結合時に大腸菌RNAポリメラーゼがDNAに沿ったスライディング運動をすることを、ランダムな化学修飾した大腸菌RNAポリメラーゼについて見いだしていた。しかし、そのスライディング運動の確率が低く、ポリメラーゼが化学修飾のために、スライディング運動が阻害されているのか、本来、ポリメラーゼはスライディングしにくいのか区別が出来なかった。 そこで、大腸菌RNAポリメラーゼβサブユニットのC末付近に対するウサギ抗体からFabフラグメントを調製して、Fabをビオチン化し、ローダミンを10残基程度保持しているアビジンを結合させ、RNAポリメラーゼに対してよりマイルドな蛍光ラベルをおこなった。その結果、40-60%の分子が明かなスライディング運動をおこなうことが観測できた。また、あらかじめ別のDNA分子と複合体を形成させておいたり、DNA結合の阻害剤であるヘパリンを添加すると、この割合は、2-14%に低下した。観測したポリメラーゼ分子のなかにはDNAと衝突しなかった分子も有り得ることを考えると、大腸菌RNAポリメラーゼはDNA上をスライディング運動すると結論する事が出来た。この運動によってDNA上を探索し、転写開始を可能にするプロモーターとの結合をおこなう訳である。
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