研究概要 |
コンピュータ導入に係わる教員研修の問題は、実態把握としては教育現場での試みと教員養成系学部における「方法・技術」,「コンピュータ」を明らかにすることをめざした。また,教員研修の今後のあり方を探る試みとして,「コンピュータは授業の何を支援するのか」という点に関して,また,プログラム言語に代わるものとして考えられるGeoblock,関数ラボ,Derive,Mathematica,Mathcadなどの「教材作成ツール」を実際に使用してBasicやLogoなどの言語との比較検討を行った。教育現場での試みとしては,特に埼玉県の小・中学校での取り組みの実態を直接担当者にあたって,また,教員養成系学部での実態はアンケート調査を主体として行った。 教員の意識の差とコンピュータとの接触の度合いとの間に相関があるように見える。研修がBASIC,LOGO言語でのプログラミングの研修から,FCAI等のオーサリングツールによる教材作成,さらに,LOTUS等のアプリケーションツールの実習と移ってきているが,筆者らは,「コンピュータは授業の何を支援するのか」という観点からの研修の必要性を訴えたい。また,大学での授業,センターでの研修,校内研修での分担を明確にしていくことの重要性とともに,校長,教頭,指導主事を含めた管理職のための研修の必要性を指摘したい。大学での測量及び実習に代わる「コンピュータ」の授業は,担当者の専門の差,例えば,数学教育,応用数学,情報科学,純粋数学などによって指導の力点が若千異なるのが実状である。これがどのような結果を生むかは,今後の研究に待たなければならない。いずれにせよ,コンピュータは従来の教育内容,指導法,教育観を序々に変える働きをしている。教員研修は単に機器の研修にとどまらずに,コンピュータ導入校の教師達が少しずつ感じてきつつあるこうした働きに応えていく役割を持つべきであろう。
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