研究概要 |
近年,社会の高学歴・高齢化と並行して,情報化社会の大学教育や社会人教育が重要課題になっている。本研究は,こうした社会情勢に合わせた大学教育・社会人教育の学習環境を作ることを目的に始められ,最終的には時や場所を選ばず学習者の都合に合わせて随意に個別学習の可能なコンピュータ援助型教授システム(CAI:Computer Assisted Instruction)の設計とその実現としてまとめられた。 本研究は,教授方略と学習教材と教材管理の3課題からなる。教授方略の観点からは,フレーム型CAIをベースに,学習者の理解度に合わせて学習進度や学習教材を制御する学習機構を設計した。具体的には,ファジィ理論に基づく試行錯誤型学習モデルや,人口知能技法の意味ネットワークとアクター・モデルによる複合概念学習モデルなどの教授方略モデルを定式化した。さらに,国際投資,コンピュータ・リテラシー教育,食品栄養教育,美術教育などの学習教材を試作して,これら教授方略の有用性を確認した。教育ソフトウェアや学習教材の管理については,これらをフレームワークやモジュールに細分してデータベースに格納し,実際には階層構造に組み立てて利用する。こうしたデータベース中のフレームワークやモジュールはファイル転送に都合よく,LANを介してCAIを使う遠隔地の学習者にも適している。 本研究で開発されたCAIモデルは,システム構成の中に情報処理と並行して情報管理と情報通信を考慮しているので,様々な応用に活用されることが期待できる。また,情報化社会における基盤技術の効果的活用の観点からも,本研究の成果は,将来の情報通信網の充実とマルチメディア技術の進歩によって,さらに現実味のあるものになるであろう。
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