本年度は、研究課題に関する日本・朝鮮・中国における外交史料の調査と収集を中心に作業を進めた。 まず、科学研究費補助金を用いて、日本の外交史料の調査と収集を行った。具体的には、平成4年10月17日-同月21日、平成5年1月5日-同月10日、同年1月22日-同月24日、の3回にわたって外交史料館(東京)の外交史料を中心に調査と収集を行った。 中国の外交史料の調査と収集に関しては、私費で平成4年8月17日-同月26日間中国を訪れ、北京大学と北京首都図書館で調査と収集にあたった。 朝鮮の外交史料に関しては、平成4年9月22日-同月28日、同年12月2日-同月4日の2回にわたって私費で訪韓し、釜山大学・釜山市民図書館・ソウル大学産章閣で、調査と収集にあたった。 以上の如く、日・中・韓三国での本研究課題に関する外交史料の調査と収集と平行して、これらの史料の整理作業も進めた。その結果、朝鮮の開国と近代化は、日本のそれと異なり、清からの独立をも同時に意味していたことがしだいに明確となった。つまり、朝鮮の開国と近代化は、冊封体制から万国公体制に東アジアの国際的枠組の変化の中で進展するのである。この過程については、平成5年度に研究成果を発表すべく準備を進めている。 なお、上記の史料の整理作業において、開港期の朝鮮では朝鮮の首都名が対外条約において様々に表記される事実を初めて発見し、平成5年2月に投稿した。開港期における首都名の不統一は、国家的レベルにおける近代的アイデンティティの見地から注目さるべき点である。
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