研究課題/領域番号 |
04801058
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文学一般
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
下田 立行 信州大学, 人文学部, 助教授 (90240788)
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研究分担者 |
佐々木 明 信州大学, 人文学部, 教授 (00111782)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1992年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ギリシア悲劇 / ギリシア喜劇 / ギリシア小説 / ギリシア民俗 / ギリシアの民俗 / ギリシア喜劇断片 / ギリシア悲劇断片 / ギリシアの小説 / ギリシアの民間宗教 |
研究概要 |
本研究の当初の課題は「ギリシア・ラテン文学-なかんずくギリシア小説-とその後世への影響の民俗学的研究」となっており、また現在もヘーリオドーロスの小説と研究書を折を見て読んでいるが、他に先行させねばならない仕事もあり、十分な成果を挙げているとはいいがたい。しかし、元来が萌芽的研究として科学研究費補助金を申請したことでもあり、本来の研究目的のためには他のさまざまな分野の基礎的研究が必要とされることも勘案すれば、今回報告するギリシア喜劇断片の解読と翻訳、及び解題の作業も広い意味で研究目的に沿ったものと考える。なお、このギリシア喜劇断片の翻訳・解題の作業は今回のみにとどまらず、筆者の研究の一つの軸として今後も続けていくつもりである。 古代ギリシア喜劇で完全な形で残っているものは、古喜劇作者アリストパネースと新喜劇作者メナンドロスのもの数篇を数えるのみであり、他のジャンルにおけると同様、喜劇についてもその残存には極めて強い選択性が作用した。しかし、多くの喜劇作者の名が知られているばかりか、詩歌集、随筆、文法書、辞典の類いに一部を引用され、あるいは内容・語彙等に言及されている、断片及び準断片は膨大な数に上る。そもそも喜劇というジャンルは世俗的な色彩が濃いものであり、それだけに当時の民衆の生活・民俗を垣間見せる断片も多いわけである。また、喜劇は俗語調を好む傾向があり、言語面でも民衆文化を知る上で恰好の資料となる。下田によるこうした断片の翻訳・解題は、古代ギリシア研究の上でまだ、特に日本では、あまり光のあてられていない部分に関する基礎研究としての価値を十分にもつものと考えられる。なにしろ断片が相手であり、しかも現在の段階では膨大な断片のほんの一部に手を付けたところなので、総合的な観点から本研究の古代ギリシア民俗研究における明確な位置付けをなすことはできなかったが、これはある意味でやむをえないことであろうと思われる。今後の進展に期待していただきたい。
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