本研究は、PL(製造物責任)制度の導入が原価企画活動に及ぼす影響を実証的に分析し、原価企画の今後のあり方を展望しようとするものであった。本研究では、わが国を代表する加工組立型メーカー数社を訪問し、またメールおよび電話による聞き取り調査を併用しながら、原価企画が抱える問題点の析出ならびに、原価企画を担当するエンジニアを中心にPL制度が彼らの活動・業務にあたえる影響について意見を聴取した。 その結果、ほとんどすべての調査企業において、PLは法務部門における担当領域とされ、原価企画における検討課題にはのぼっていないことが確認された。その一方で、エンジニアの多くはこの状況に対して強い危機感を抱いていることが明らかとなった。なお、この調査結果の一部は、昨年末に開かれた社会関連会計研究学会第5回大会において発表した。 さて、本研究では、当初平成4年末をめどにアンケート調査を実施する予定であった。しかし、昨年10月に首相の諮問機関である国民生活審議会消費者政策部会がPL制度の導入を時期尚早とする意見書を提出し事実上PL制度の導入が一歩後退したことから、再度質問事項の練り直しや調査そのものの基本的方針を修正する必要が生じた。これにより、ヒアニング調査を継続しつつ、各方面から参考意見を聴取し、再度質問事項の整理・修正を行ってきた。現在、ほぼこの作業を終え、あらためてアンケート調査を準備中である。
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