研究概要 |
1.アルゴリズムの研究:高次代数曲線(曲面)に現れる特異点を研究するために、定義方程式をその標準型に変換するためのアルゴリズムを研究した。現在までに、2次元複素射影空間における3次,4次曲線と6次曲線の一部、また、3次元複素射影空間における3次曲面と4次曲面の一部に対するアルゴリズムを決定した。研究を拡張するために、3次元特異点において特徴的な性質を持つ単純K3特異点に対して、この方法を拡張した。 2.特異点の位相型を解析するためのプログラム作成:特異点の位相型が他のものに変化する定義方程式の係数の関係式を求めるプログラムを作成した。しかし、このプログラムの作成は、予想以上に時間と手間を要した。特に、単純K3特異点における分析には、大規模な代数計算を要した。そのため、数式処理ソフトウェアを用いて計算を実行した。計算スピードを上げるために、アクセラレータボードをコンピュータに装着した(CPUのアップグレードを上回るアクセラレータボードが発売されたため)。また、学生のアルバイトを使ってプログラムの改善及び修正等を行ったが、まだまだ、手掛けた段階であり、今後、続けて、是非とも完成させたい。 3.グラフィック機能を備えた特異点分析システムの開発:数式処理システムの代数計算機能とグラフィック機能を活用し、与えられた方程式によって定義される代数曲線(曲面)が、どのような特異点を幾つどこに持つのかを計算し、その結果をグラフィックと共に出力するプログラムを作成する計画であった。このためのプログラムの開発は2に基づいている。2の研究が予定より遅れたため、この計画は、ほとんど進めることができなかった。部分4的ではあるが、2次元複素射影空間における3次,4次曲線のグラフィックの求め方を研究した。その結果2次元複素射影空間におけるグラフィックは正確に描けることができた。今後の研究の進展に用いたい。
|