研究概要 |
ホットスポット蒸着法による高強度金属薄膜ターゲットの試作研究を行った.通常の蒸着膜作製法には1)高温に基づく真空蒸着法2)低温に基づくスパッターリング法 それに3)気相分解法の3つがあり,これらの各方法を用いてターゲット薄膜が作られている.我々は上記以外のアーク放電法の直流アークのカソード電極から,A high Density hot plasmaと呼ぶ面からクラスター粒子が放出されていることを見い出した. このhot plasmaから放出される粒子からなる蒸着膜は高強度の放射線ビーム照射に対して著るしい耐久性を有することがわかった.この特徴を利用して,カソードに被蒸着物のターゲット金属,例えば,Al,Ti.FeそれにHFのメタルを取り付けてパルス的にホットスポット蒸着を試みた. この場合,対極のアノードには炭素棒を取付けた.同じ金属同志ではアークするとき一緒に接着してしまった.ホットスポットによって蒸着された各金属は膜厚が10〜50μg/m^2のセルフサポート膜ができる。通常は各々の金属自身ではこのような極薄のセルフサポート膜は不可能である.炭素粒子を含んだこれらの金属膜は東工大(理)のバンデグラーク加速器からの3.2MeV.ビーム電流1〜3μA.ビームスポット3.5mm中のネオンイオンビームにより照射テストされた.この結果、市販の厚さ10μg/m^2のカーボン膜はビーム照射積算量〜2.5mCで破れるのに対して,Al,Tiは50mC,FeとHfは35mCの耐久性があることが判った。この事実は電子ビームや熱フィラメントによる熱蒸発法に比較して膜構造が基本的に異なるものと考えられ,カソードからのクラスターが放射線ビームに対して耐久性の役割りを果しているものと予想される.この他に炭素と窒素のNitrided,Carbon膜は同様に異状な耐久性があることがわかった.この膜は非常に緻密であり硬いことも判った.これらの化合物の薄膜はRBS法により組成分析を行い,明らかに炭素の他に金属や窒素が同定された.本方法による耐久性の膜作りは新しい製膜法の糸口を与える
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