研究概要 |
本課題は、まったく新しい着想のもとずく質量分析法を用いた非発光ラジカル等の活性化学種の計測法に関するもので、化学種にLi^+イオンを付加反応させ、Li^+付加complexを作り、質量分析法によって検出する方法により、非発光ラジカルを含む全ての気相中低濃度ラジカルの計測システムの確立を目的とする。 4年度は、ノズルとスキマ-計からなる3段の差動排気装置を持つ大気圧四重極質量分析計を骨格とした本格的なシステムの組立を行なった。一次反応イオンLi^+の強度等の基本的特性を求めた後、CH_4のマイクロ波放電により生じる多種多様のhydrocarbonラジカル(主なものとしてC_nH_<2n-1>,C_nH_<2n+1>,nが少なくとも8まで)が本課題の方法により、初めて高感度に検出、確認された。 5年度は主にCH_4/O_2の混合ガス系で実験を行なった。一定流量12cc/minのCH_4(80)/O_2(20)の混合ガスを流し、MW放電によって生成した生成物の検出を行なった。CH_4/O_2で生成される化合物のうち、主なものは多くの含酸素炭化水素であり、これを分類するとC_nH_<2n+2>0,C_nH_<2n>0,C_nH_<2n>0_2(nは9にまでなる) 最終年度の6年にはCH_4/O_2混合ガス系のマイクロ放電で生成する種々の化合物の中に、長い間存在が議論の的となっている三酸化水素(H_2O_3)を気相において検出、H_2O_3Li^+の形でその存在を本格的に検討確認できた。又、付加生成の難易さの度合いは、Li^+affinityに依存するが、この化学定数を計算(M0法)で簡単に求める方法をフリーラジカルの定量法確立のために検討した。
|