研究概要 |
従来、1:1電解質からの対称的な三重イオン生成反応は、低誘電率(εγ<10)溶媒中でのみ起こり得るものであるとされてきた。本研究は、電気伝導度法および吸光光度法により、中程度ないし高い誘電率(25<εγ<65)を有する溶媒中で、水素結合や配位結合力によって三重イオンなどのイオン多重体が生成することを明らかにすることを目的とした。同時に、三重イオン生成とイオンの酸塩基性および溶媒との関連性を明らかにした。 塩基性の異なる種々のアミン類とハロゲン化水素酸との間の塩BH^+X^- (B=N-メチルジオクチルアミン、1,3-ジフェニルグアニジン、N,N-ジエチルアニリンなど、X=Cl,Br)からの三重イオン生成反応を確認した。このとき、塩を構成する塩基Bの塩基度が小さい方が、三重イオンを生成しやすいことが明らかとなった。 一方、アニオンについては、ハロゲン化物イオンの他、酸性度の異なる酸からの共役イオンについて検討し、アニオンの塩基性が強い程、三重イオン生成が起こりやすいことを明らかにした。 三重イオン等のイオン多重体生成は、溶媒和力の小さい溶媒、すなわち、溶媒のドナー数およびアクセプター数が小さい溶媒中で起こりやすい。
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