研究課題/領域番号 |
04804061
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
最上 善広 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (30166318)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ゾウリムシ / 重力走性 / 繊毛運動 / 行動モデル / シミュレーション / 遊泳軌跡 / ラセン性 / 配向反応 |
研究概要 |
ゾウリムシの重力走性行動を説明するモデルとして、細胞体による重力感知を含む生理学的モデルを提唱した。このモデルは、細胞膜に於ける機械受容チャンネルの局在性により、細胞体の重力方向にたいする配向角に依存して膜電位が変化し、電位依存的に繊毛運動を変化させるというものである。そのうような機構を介することにより、繊毛運動が重力に対する相対方向に応じて変化する。この変化を受けて遊泳の3次元成分が変わり、ゾウリムシが負の重力走性を行なうことが、このモデルによって説明される。この理論モデルの実在性に対する検証を行なった。 上記のモデルにより、重力走性行動が起こるためには、ゾウリムシの遊泳軌跡のラセン性が必要とされる。一方、重力依存性の運動調節を否定する物理モデルにおいては、ラセン遊泳は細胞体の機械的重力配向特性が遊泳方向に反映される度合を減じてしまうことが予想された。両モデルに依存した遊泳の数値シミュレーションを行なったところ、ラセン性の程度の違いによってふたつのモデルの違いを区別できた。すなわち歩泳軌跡の上方位速度は、生理モデルに従うと、ラセンが性が強くなる程大きくなり、物理モデルでは逆に小さくなることが示された。実際の測定では、ピッチ角の大きい(すなわちラセン性の強い)遊泳をするものの方が、小さいものに比べて配向速度が有意に大きいことが示された。この事実は、これまでの通説である物理モデルの不完全性を指摘するとともに、それに変わる生理モデルの実在性と、それを裏付ける細胞レベルでの重力感知メカニズムの存在を強く示唆するものである。また、生理モデルから予見される、スーパーヘリックス遊泳軌跡の実在を検証すべく、三次元画像解析システムを開発し遊泳軌跡の解析をした。さらに、生理モデルの根幹となる重力依存性の膜電位の変化をシミュレーションで見積り、それ(数mV)を検出できる装置の開発を行なった。
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