研究課題/領域番号 |
04805002
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 耕三 東京大学, 工学部, 講師 (00232439)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1992年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 電子複屈折 / 導電性高分子 / 溶液物性 / 高分子の形態 / 導電機構 / ポリ3ヘキシルチオフェン |
研究概要 |
我々が従来より開発を進めてきた電気複屈折緩和スペクトロスコピーは、高分子の形態を反映する回転緩和時間だけでなく、電子性キャリアの移動時間(内部運動モード)についての情報を与えるなど他の溶液物性の測定法にないユニークな特徴を示すことから、溶液中での共役系高分子の形態や電子性キャリアの電気的ダイナミックス(分子内或いは分子間導電機構)についての知見を得る上できわめて有力な測定手段ということができる。本研究では、印加電場として周波数fの交流正弦波電場を用い、複屈折応答の直流成分及び2f成分を同時に検出する周波数領域の電気複屈折スペクトルクトロメータを開発し、それをπ電子共役系高分子溶液に対して適用した。その概要は以下の通りである。 1.本研究課題で新たに購入した任意波形発生器を用いて、1Hz〜100kHzの周波数領域で周波数を自動スキャンしながら複屈折応答の直流成分と2f成分を同時測定するシステムを開発した。 2.新しく開発した測定システムを用い、代表的な可溶性の導電性高分子であるポリ3ヘキシルチオフェンの電気複屈折緩和スペクトルを良溶媒と貧溶媒の組成比を変化させて測定した。良溶媒と貧溶媒では、溶液の光学吸収スペクトルに顕著な差が現れているのに対し、回転緩和時間から見積もられる高分子の形態に変化はみられなかった。一方内部運動モードの緩和時間は、溶媒の組成比によって誘起双極子型(速い緩和時間)から永久双極子型(遅い緩和時間)に大きく変化した。以上の測定結果から、高分子は溶媒の組成比にかかわらずアグリゲーションを起こしており、そのアグリゲーション内部での分子長軸方向の電子性キャリアの移動時間が溶媒の組成比により大きく変化することが明らかになった。
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