研究概要 |
最近,消費者の要求はますます多彩で個性的となり,その充足への猶予期間が性急化しているため,製品の多様化と短寿命化に対応できる一層柔軟な生産システムの実現が強く望まれている.本研究では,将来の生産システムが具備すべき条件として,自律分散,自己成長,調和的融合をあげ,その具体化のために生物の機能や生物社会の行動様式の優れた特性に注目し,それらを取り入れた生物指向型生産システムを提案するとともに,システムアーキテクチャのモデルリングを行うことを目的とし,研究を行った. まず,生物の機能発現をDNA(遺伝子型)情報とBN(知能型)情報により分析し,これまで製品生産において考慮されていなかった前者を陽に導入した生物指向型生産システムの基本概念を提案した.ついで,自己分散,調和的融合,自己成長を具体化する生物指向型生産システムの基本アーキテクチャを構築した. そして,より詳細な製品形態情報とその発現,及びシステム内に複数の素材が存在する場合などを考慮したシステムリアライゼーションを検討した.また,加工リボソームの実現への第一段階として,工作物からの情報に基づいて自律,協調的に使用工具を選出し,逐次処理によって工具経路を生成するシステムを現状の技術水準の制約のもとで試作した.また,ケーススタディとして,2.5次元形状部品に対する加工を行った.さらに,工作物があるリボソームに到着した後の部品の逐次的局所的形態発現のアルゴリズムを提案し,それに基づく部品の形態発現を行った.そして,工作物とリボソームとの応答に基づき,工作物が自律的に行動することによって生産が行われることをコンピュータリアライゼーションで示した.
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