研究概要 |
平成4年度から平成5年度の2年間にわたる本研究課題による研究成果は以下のように纒められる. (1)基本となるベクトルポテンシャル場とスカラーポテンシャル場との媒質条件を含めた統一的解析法をローレンツゲージ条件下で導いた. (2)超電導特性を特徴づけるマイスナー効果をベクトルポテンシャルを用いた特性式を用いて容易に解析し,解析法の有効性を示した. (3)各格子点での分極特性で表示する本解析法における媒質特性の取扱いを,配向分極,共鳴吸収型分極さらに非磁化プラズマ特性になどにおいて導き,従来の電磁界変数を用いた場合に比べて簡単な定式化が実現され,記憶容量の節約と計算時間の短縮が計られることが示された.*(2)および(3)はベクトルポテンシャルが媒質特性により直接的に対応することを示し,本解析法の有効性を支持するものである. (4)(3)における共鳴吸収型分極特性の取扱いにおいて,分極率を負におくことで能動性誘導放出特性の解析に直ちに拡張できることを示し,メーザーやレーザー機構のシミュレーションの実現を可能とした.*これらの共鳴吸収および誘導放出機構の扱いは電磁界と量子効果を含めたデバイス材料特性の結合の基本をなし,量子論的には準位間遷移による電磁界エネルギーの吸収および放出機構でそれぞれ説明されるので,量子効果はシュレディンガー方程式など電磁界条件を考慮した準位間遷移の厳密な評価式の適切な利用とその結果の分極特性への導入により扱えることを可能とし,本解析法の量子デバイスの扱いの妥当性を示す. (5)これまでの厳密な定式化の証明が可能であった空間回路網法に加えて,問題によっては効率的計算が可能である有限差分時間領域法(FD-TD法)による分散性媒質を含めた統一的解析法を導いた. (5)ヘルツベクトルによる同様の解析法も導き拡張性を増している.
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