研究概要 |
本研究は触媒表面への通電という手段により,(1)反応温度を効果的に制御するのみならず,(2)固体の電子構造変化を触媒活性の向上に結び付ける事により,(3)最終的には触媒設計,及び,触媒反応装置の設計を行なう事を目的としている. 本年度は酸化亜鉛と酸化ビスマスを主成分としバリスタ特性を持つ触媒を調製し,触媒への通電がアセトン酸化反応に及ぼす効果を検討した. 1.触媒試料:短距離で対向する電極線から効果的に触媒上に通電するためにFig.1の形状の試料を設計,製作した.調製した触媒試料は市販のバリスタ素子と同様の電流電圧曲線を示した(Fig.2).電流が急上昇する電圧をバリスタ電圧という. 2.反応試験:アセトン(1000ppm/air,275-325℃)の酸化反応をモデルとして,活性化エネルギー及び頻度因子変化から通電の効果を追跡した.通電によるジュール熱の影響を除いた電気的な効果として,Fig.3の結果を得た.注目した両因子ともにバリスタ電圧を境としてその変化の様子が異なり,電圧引加による触媒固体の電子構造変化が反応機構に影響を与えている事が確認された. 3.まとめ:本年度の酸化亜鉛系バリスタでも昨年度の酸化ルテニウムと同様バリスタ電圧の前後で触媒固体内に電子構造変化が生じ,これが反応機構に影響を与えているものと考えられる. 今後とも詳細な検討を継続してゆく予定である.
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