研究課題/領域番号 |
04806026
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
深見 公雄 高知大学, 農学部, 助教授 (30181241)
|
研究分担者 |
山岡 耕作 高知大学, 農学部, 助教授 (20200587)
西島 敏隆 高知大学, 農学部, 教授 (60036738)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 初期餌料 / 孵化仔魚 / 種苗生産 / 鞭毛虫 / 繊毛虫 / 原生動物 / 消化管内容物 / 初期餌科 |
研究概要 |
魚類の種苗生産における初期餌料として現在多用されているS型ワムシは、魚種によっては孵化後の摂餌開始時期の口径に比較して大きすぎるため仔魚は効率よく摂食することができず、その初期減耗の大きな原因になっている。このため本研究では、S型ワムシに代わるより小型でかつ安定大量培養が可能な餌料の開発を目的とし、原生動物(鞭毛虫・繊毛虫)の仔魚初期餌料としての可能性について検討した。また、天然海域に生息する仔魚の消化管内容物を調べ、原生動物プランクトンの消費者としての仔魚の役割について調べた。 まず稚魚ネットにより土佐湾や伊予灘で採取された全長数mm程度の仔魚の消化管内容物を、微生物学的な手法を用いて詳細に観察した。その結果、大きさが10〜40μm程度の原生動物が仔魚によって捕食されているのが確認された。約47属319個体の仔魚について、その消化管内部を観察した結果、魚種によって、(1)観察した個体のほとんどすべてで原生動物が多量に観察されたもの、(2)観察されないかされても比較的少量であったもの、および(3)全く原生動物の捕食がみられなかったものの3群に分かれることが明らかとなった。(1)のグループにはカワハギ・アミメハギ・ヒメダラ等が、また(2)のグループにはシロギスやタチウオ等が、(3)のグループにはカタクチイワシ・マイワシ・クロサギ等が該当した。 天然仔魚が原生動物を摂餌していることが明らかとなったため、種苗生産により得られた孵化後2〜3日の摂餌開始期にあたる仔魚を約24時間飢餓させたのち、海水中より分離した鞭毛虫および繊毛虫を与えた。その結果、孵化後3日齢のアユ仔魚や孵化後4日齢のヒラメ仔魚ではまったく繊毛虫を摂食していないことを示す結果しか得られなかった。またマダイにおいては、孵化後3日齢の仔魚はほとんど摂食しなかったものの6日齢仔魚ではわずかながら仔魚添加実験区での繊毛虫の密度が無添加対照区に比較して減少しており、マダイ仔魚による繊毛虫の摂餌が示唆された。また前記の魚種に比較してより口径の小さい2日齢のキジハタ仔魚では、繊毛虫を捕食していることを示唆する結果が得られた。 以上の観察・実験結果から、魚種によっては孵化直後の初期餌料として繊毛虫等の原生動物プランクトンが有効であることが示唆された。
|