研究概要 |
1.ニホンウズラのリンパ球抗原に関する研究(1)ニホンウズラの胸腺由来細胞(Thy 細胞)を免疫原とするモノクローナル抗体(MoAb)を5種:QT-1〜QT-5、ならびにファブリシウス襄由来細胞(BF細胞)を免疫原とするMoAbを5種:QB-1〜QB-5、作成した。(2)免疫組織染色の結果、QT-1^+,-4^+および-5^+細胞はThy皮質にのみ存在した。QB-1^+,-2^+および-3^+細胞はBFの髄質に密集し、また脾臓(Sp)の動脈周囲リンパ球鞘の外周に存在した。(3)フローサイトメトリー法による解析の結果、QT-1^+,-4^+および-5^+細胞はThyにのみ存在した。QB-1^+,-2^+および-3^+細胞はBF細胞の約90%を占め、またThy細胞、Sp細胞および末梢血リンパ球(PBL)中にも存在した。QT-2^+,QB-4^+および-5^+細胞はThy細胞、BF細胞、Sp細胞、PBLおよび赤血球(RBC)に存在し、QT-3^+細胞は各種免疫臓器由来細胞に存在したが、RBCには認められなかった。 2.ニホンウズラのMHCクラスI領域に関する研究(1)ニワトリのMHCクラスI抗原cDNA(BF10)をプローブに用いたニホンウズラゲノミックDNAのRFLP像には多型が観察された。(2)ニホンウズラの肝臓cDNAライブラリーからBF10およびBF10陽性クローン(QF41)をプローブに用いて9つの陽性クローン(QF41,63,76,95,103,111,113,128)を得た。これらのクローンは塩基配列に基づき、5つの遺伝子座に分類され、そのうち2つの遺伝子座には対立遺伝子が存在した。(3)PCR法を用いてQF41およびQF63のα1〜α2領域を増幅したところ、QF63の増幅産物(609bp)はα1とα2との間に181bpのイントロンを含んでいたが、QF41の増幅産物(434bp)はα1とα2の間にイントロンが認められなかった。(4)QF63の増幅産物は制限酵素BanIIおよびFcoT14I処理によるPCR-RFLPパターンの組合せにより 9つの遺伝子型の存在が予測されたが、このうち5つの遺伝子型のみが観察された。
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