研究課題/領域番号 |
04807034
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
木村 純子 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学・免疫学研究部門, 主事研究員 (20142151)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | HIV脳症 / HIV-1gp120 / 脳内糖脂質 / 培養脳細胞 / 脱髄 / ニューロン死 / HIV-1 gp120 |
研究概要 |
HIV脳症の特徴には、大脳白質のdiffuseな脱髄、ニューロンの脱落などが報告されているが、その原因には不明の点が多い。gp120がガラクトセレブロシドやGM4などに結合することが報告され、これらの糖脂質はミエリンや神経突起の重要な構成成分であることから、gp120やHIV粒子が、神経系に二次的障害を起こす可能性が考えられる。糖脂質は種を超えた共通性があることから、ラット胎仔脳培養系を主に用いて、gp120の神経系細胞に及ぼす障害性について検討し、gp120の二つの神経障害性を明らかにした。 第一に、成熟した神経系細胞を、ミエリンが高率に産生する条件下で培養すると、gp120は、ニューロンに障害性を示さず、オリゴデンドロサイトに機能障害を起こして、ミエリン形成を阻害した。第二に、幼若期の神経系細胞では、gp120添加により、顕著なニューロン死を引き起こした。gp120の神経系細胞に対する結合性を調べると、成熟期では、gp120はオリゴデンドロサイト、一部の2型アストロサイトや小型のニューロンにのみ結合を示したが、幼若期には主にニューロンに対して結合を示した。これらの結果から、gp120によるミエリン形成阻止やニューロン死は、神経系細胞表面分子の、発生に伴う変化と関連していることが予測された。成熟期のオリゴデンドロサイトに対するgp120の結合は、主にガラクトセレブロシドを介していることを確認しており、神経系細胞表面の糖脂質の変化とgp120の結合性に着目して、解析する予定である。これらの神経障害性が作用機序はまだ明らかでないが、神経障害性のあるTNFαの産生は、幼若期、成熟期共にみられなかったことから、別の経路による障害性が考えられ、今後解析を進めたい。以上のことから、gp120はHIV脳症にみられる脱髄、ニューロンの脱落の一つの原因となっている可能性を示唆することができた。
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