研究概要 |
心筋虚血時の心筋内微小血管のトーヌスに及ぼす心筋代謝産物の影響をin vivoで評価するために,新しく開発された心筋用マイクロダイアリシス法を用いて検討するモデルを確立した.心筋用マイクロダイアリーシス用プローベは心内膜側と心外膜側心筋から選択的なサンプリングが行えるようにニードルに角度をつけ,ダイアリーシス膜が心内膜側及び心外膜側に位置するように工夫した.心筋虚血は前下行枝の完全結紮により行なったが,その際にischemic preconditioningの影響を検討するために5分間虚血,再潅流を行なった後に40分の完全結紮をおこなっ群とischemic preconditioningを行わなかった群について検討をおこなっているところである.心筋内代謝産物としてadenosineの測定をヤマサのradioimmunoassayキットをもちいて行なっている.心筋収縮性については超音波マイクロクリスタル法にて局所壁厚増加率を測定した.結果及び今後の研究方針:心筋内アデノシンの測定については現在進行中であり,局所心筋機能に及ぼすischemic preconditioningの影響については,虚血40分後再潅流により,ischemic preconditioningを行わなかった群より行なった群のほうが回復が速いことが見いだされた.また現在,HPLCを用いて虚血時心筋間質内カテコラミン放出についても検討中である.今後 ischemic preconditioningが心筋代謝産物,及び心筋間質内 カテコラミン放出に及ぼす影響とそれを修飾する薬物の効果について検討を進めてゆく予定である.
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