研究概要 |
(1)カイニン酸誘発てんかんモデルを用いた動物実験 てんかん焦点における抑制系神経伝達物(GABA,Benzodiazepine,5-HT)・興奮性神経伝達物質(NMDA,Acetylcholine)レセプターと脳血流を検討した。扁桃核内カイニン酸注入によりてんかん重責発作を誘発し、一ヶ月後ラットの大腿動静脈にカニュレーションし、 _<14>C-IAPを静注、動脈採血、断頭、クライオスッタットにより脳切片作製し、脳血流を測定した。更に隣接する脳切片の _<14>C-IAPをbufferで除去した後、 _3H-Muscimol(GABA),_<39>H-RO15-1788(Benzodiazepin),_<3a>H-5-HT(5-HT)_3H-MK801(NMDA), _3H-QNB(Acetylcholine)を用いてin vitro autoradiographyを行ない、画像解析装置を用い、脳血流と神経伝達物質レセプターを同時に測定した。結果:脳血流はカイニン酸注入部位の扁桃核及び両側海馬全体で低下していた。抑制系神経伝達物質のGABA,Benzodiazepine,5-HTreceptor bindingは全て注入側扁桃核.海馬錐体細胞層で低下していたが海馬歯状回では逆に上昇していた。一方興奮性神経伝達物質のNMDA,Acetylcholine receptor bindingは全て注入側扁桃核・海馬錐体細胞層で低下していた。これら神経伝達物質レセプターの変化は脳血流の変化部位より限局した狭い領域に認められた。 (2)臨床研究 側頭葉てんかん患者で術前発作間欠期に脳血流をSPECTで測定し、術後手術切除標本の神経伝達物質autoradiographyを行なった。症例数がまだ少ないが、動物実験と似た傾向の結果が得られ、SPECTを用いた神経伝達物質レセプターの画像診断は、てんかん焦点の局在診断に非常に有望と思われた。
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