研究課題/領域番号 |
04807084
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芝 英一 大阪大学, 医学部, 助手 (90215997)
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研究分担者 |
川崎 富夫 大阪大学, 医学部, 助手 (90214626)
左近 賢人 大阪大学, 医学部, 助手 (40170659)
上林 純一 大阪大学, 医学部, 講師 (40135687)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 乳癌 / 蛋白分解酵素 / カルパイン / カルパスタチン |
研究概要 |
目的 乳癌組織中のカルパインの量、カルパインの内在性インヒビターであるカルパスタチン量を測定した。これらが乳癌の予後予測因子や、内分泌療法の効果予測因子である可能性を検討した。 対象および方法 78例の乳癌、5例の乳腺良性腫瘍、乳癌手術時に得られた5例の正常乳腺組織。組織をホモジネートし、超遠沈にて組織の細胞質画分を得た。カルパイン活性は、カゼインを基質として測定し、カルパスタチン活性は細胞質画分を、熱処理し、カルパインを失活させて、精製したカルパインを一定量添加して残存するカルパイン活性を測定した。2群間の有為差の検定はMann-Whitney検定を用いた。 結果 カルパインの活性は乳癌組織中で、2.40±0.36U/mg prot.(以下mean±SEM)を示し、良性及び正常乳腺組織では0.85±0.38U/mg prot.と明かに乳癌組織中で増加していた。カルパスタチンの活性は、乳癌組織中で1.75±0.46U/mg prot.、良性及び正常例で0.05±0.05U/mg prot.と有意に乳癌組織中で高値を示した。T因子とカルパイン活性には相関は認められなかった。リンパ節転移では、n0で平均2.60U/mg prot.であるのに対してn1βでは5.98U/mg prot.とカルパイン活性の上昇が認められた。カルパスタチン活性もn1βで3.2U/mg prot.とn0の2.10U/mg prot.に比べて高値であった。ER(+)では、2.62U/mg prot.とER(-)(1.91U/mg prot)に比べて高値で、カルパスタチンは逆にER(-)もので1.89U/mg prot、ER(+)で1.24U/mg prot.とER(+)で活性が低かった。 結論 乳癌組織中のカルパインおよびカルパスタチン活性は正常乳腺組織、乳腺良性腫瘍組織中よりも有意に高値であり、カルパイン、カルパスタチンが癌の進展、転移に関与する可能性が示唆された。乳癌組織中のカルパイン、カルパスタチン活性は、乳癌のT因子、リンパ節転移度、組織型とは一定の相関は認められなかった。ERに関してはER(+)のものはカルパイン活性が高く、逆にカルパスタチン活性は低値であった。このことは、カルパイン、カルパスタチン系と乳癌組織のER発現とが関係していることを示唆すると考えられた。
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