研究課題/領域番号 |
04807093
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
|
研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
松浦 弘 島根医科大学, 医学部, 講師 (80157247)
|
研究分担者 |
中村 輝久 島根医科大学, 医学部, 教授 (10038656)
久保田 博文 島根医科大学, 医学部, 助手 (00205147)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | CDDP / キチン / プラキチン / 徐放性制癌剤 / 動注化学塞栓療法 / VX_2腫瘍 / VX2 / 化学塞栓療法 / 動脈内投与 |
研究概要 |
癌局所投与のための徐放性制癌剤として、体内で徐々に酵素分解する生体材料キチンと、シスプラチン(CDDP)を化学的に結合させて週単位の徐放性をもたせたプラキチンを開発したので、その薬剤動態と抗腫瘍効果および安全性について検討した。 1.マウスの皮下にプラキチンを埋め込み、諸臓器内濃度の時間的推移を調べたところ、局所、腎組織で投与4週後に最高値を示したが血中濃度は常に低値であった。なお腎機能障害は認められなかった。2Ehrlich腫瘍をマウス皮下に移植し、プラキチンを局所投与し抗腫瘍効果について検討したところ、腫瘍の増殖は、CDDP群、キチン群に対して有意に抑制された。また生存率では、キチン群に対して有意に良好な成績が得られた。3.プラキチンの構造は、キチンのアセチル基が脱アセチル化してアミノ基となった部位が、配位子交換反応によってCDDPのClの一つと置換し、プラチナと結合したもので、プラキチン1g中CDDPを300mg含有している。プラキチンを動脈塞栓用に使用するため40-50μm径の顆粒状とし、ウサギの下腿のVX2腫瘍に対して大腿動脈からプラキチンを動注したところ、腫瘍血管像は消失した。4.3で決定された顆粒状プラキチンを上記のモデルに投与し、血中、諸臓器内薬剤濃度を測定したところ、腫瘍内濃度は腎臓、肝臓、血中に比べて高値であった。またBUN,Creatinineは正常値であり組織学的にも腎障害は認められなかった。5.上記モデルについてプラキチン群、キチン群、CDDP単独群、コントロール群の4群で抗腫瘍効果を検討したところ、プラキチン群は他群にくらべて腫瘍増殖抑制を認めた。しかし、この実験では、下腿全体が壊死に陥り早期に事故死するものがあり、生存率自体は他の群と明らかな差はなかった。顆粒状プラキチンを用いた動注化学塞栓療法は、抗腫瘍効果があり、薬剤の局在性があり、腎障害がないことが認められ、今後臨床にも応用したいと考えている。
|