研究概要 |
本研究は,審美性に優れた歯科材料を利用した歯科補綴物製作専用のCAD/CAM技術の開発を目指して,技工士作業のロボット化の可能性を探ることを目的として,筆積みによるポーセレンの築盛法において技工士が行う筆の操作を,コンピュータ制御されたポーセレン粉末の射出システムにより代替するための研究を行い,以下の結果を得た. 1.システムの概念設計 径0.5mm程度の粒の大きさの単位築盛を繰返して3次元形状を創造するシステムとした.装置は,ポーセレン粉末の微少な塊を噴射するための射出装置を主体とし,固定噴射ノズルの下でワークをXY方向に移動させるためのXYステージから構成される. 2.ポーセレン粉末射出装置 往復運動するワイパにより平板の窪みに貯められたポーセレン粉末を鋼円柱により押し出すことにより,窪みの下部に設けられた径0.3mmの穴からポーセレン粉末を噴射する装置を試作した.射出実験を行った結果,安定した射出が可能であることが分かった 3.蒸留水射出装置 市販のインクジェットプリンタ装置を利用して構成した. 4.実験結果 ポーセレン粉末の射出量は1回約50μg,蒸留水の射出量は1回約40μgであり,連続して安定した射出が可能である.ステージのコンピュータ制御により,製作対象物をスキャンして積層ですることができた.ポーセレン粉末の射出位置の精度は,おおむね1mm程度であった. 5.結論 ポーセレンの微粒を射出して築盛を繰返すことにより,任意の3次元形状を創成するという動作原理が立証された.ただ射出位置の精度にはまだ問題が残るので,今後はこの点を改善して行きたい.
|