研究課題/領域番号 |
04807176
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 益廣 新潟大学, 医学部, 助手 (90179531)
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研究分担者 |
岸 賢治 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (30186209)
小池 正 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (30170161)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | bcr / abl融合遺伝子 / v-abl融合遺伝子 / FDC-P2 / HSM-911 / 電気パルス法 / 遺伝子導入 / 自律増殖 / 分化能 |
研究概要 |
【目的】マウスの増殖因子依存性血液細胞株におけるbcr/abl融合遺伝子の導入による自律増殖能の獲得については、2、3の報告が見られるものの、ヒトの細胞にbcr/abl融合遺伝子を導入し、その作用を検討した報告はまだ認められない。今回我々は、マウスとヒトの増殖因子依存性血液細胞株に対し、bcr/abl融合遺伝子を電気パルス法で導入し、その作用について検討した。【方法】増殖因子(GM-CSF,IL-3等)依存性マウス血液細胞株FDC-P2およびヒト血液細胞株HSM-911(北大癌研病理小林正伸先生より供与)にbcr/abl融合遺伝子(pGD'210:MPSVのLTRをプロモーターとし、p210cDNAとneo^Rgeneを組み込んでいる)またはそのベクター(pGD')を電気パルス法で遺伝子導入し、G418(neomycin analogue)1.0mg/mlを加えた培養で、遺伝子導入細胞を選択した。また、HSM-911においては、bcr/v-abl融合遺伝子(LTR(bcr-v-abl):MPSVのLTRをプロモーターとし、ヒトbcrとv-ablの融合遺伝子を組み込んでいる)を電気パルス法で導入した後、IL-3を加えない培養で自律増殖能を獲得した細胞を選択した。各細胞からDNAとRNAを抽出し、bcr/abl領域を増幅するPCR法で遺伝子の組み込みとその発現について検討した。また、導入細胞の形態、増殖様式についての検討を行った。【結果】bcr/abl融合遺伝子を導入し、G418に耐性となったFDC-P2およびHSM-911においては、PCR法でbcr/abl融合遺伝子の組み込みとその発現が確認された。bcr/abl融合遺伝子を導入したFDC-P2は増殖因子非依存性となったが、導入細胞からのIL-3産生は認められなかった。一方、HSM-911においては、bcr/abl融合遺伝子の導入によっても増殖因子依存性はとれなかったが、増殖因子(GM-CSF)を加えた培養で、originalなエステラーゼ陰性芽球様細胞から核の分葉傾向を示し、エステラーゼ2重染色でnaphthol-ASD-chloroacetate esteraseまたはα-naphthyl butyrate esteraseが陽性となった細胞群も認められた。また、これらの細胞においては、originalな細胞で陽性であったCD34やHLA-DRが陰性となり、originalな細胞で陰性であったCD10やCD41が出現するようになった。一方bcr/v-abl融合遺伝子を導入し自律増殖能を獲得したHSM-911においては、PCR法でbcr/v-ablの発現が確認されたが、導入細胞からのIL-3産生は認められなかった。【結論】bcr/abl融合遺伝子を導入することにより、FDC-P2は自律増殖を示すようになったが、HSM-911においては増殖因子依存性はとれなかった。しかし、bcr-v-abl融合遺伝子を導入することにより、HSM-911は自律増殖能を獲得するようになった。また、これらの遺伝子導入により自律増殖能を獲得した細胞からのIL-3産生は認められなかった。
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