研究概要 |
1)周辺プラズマでの炭素、ヘリウム等の原子、イオンからのスペクトル線及び密度効果 ダイバータ及び周辺プラズマでの中性原子からのスペクトル線はプラズマ壁からの不純物のinfluxを推定するのに重要である。低温度領域の電子密度、電子温度のプラズマ診断には低電離イオンからの分光スペクトル線の強度比が有用である。主にCI,CII,CIII,CIV,OV,HeIについてスペクトル線強度、電離速度係数、再結合速度係数、放射損失の密度依存性を衝突輻射モデルを用いて調べた。又CIIからCIの励起状態への二電子性再結合速度係数を計算し密度依存実効的再結合速度係数を求めた。 2)He様イオンからの時間依存X線スペクトルの解析 トカマク及び太陽フレア-から測定された時間依存高分解X線スペクトルを解析するための合成スペクトル計算機コードを作成し解析を行った。スペクトル線幅からはイオン温度、二電子性再結合によるサテライト線と共鳴線との強度比からは電子温度、内殻励起によるサテライト線と共鳴線との強度比からはイオン比が得られる。これらのスペクトル線幅、電子温度及びイオン比の時間変化からプラズマの動的な振るまいを調べた。太陽フレア-からの結果ではフレア-の初期では電子温度に較べると何倍も大きいイオン温度が観測されフレア-の初期に乱流が発生していることが明らかとなった。又イオン比(電離度)も電離平衡値からはずれ、しかもフレア-の上昇期と下降期で異なった値を取ることが解った。これは上昇期は電離プラズマ、下降期は再結合プラズマを示唆している。電離度の平衡値からのずれよりフレア-に流れがある事が推定される。 3)原子データの収集と評価 He原子と電子との衝突による励起断面積のデータ収集を行いデータの関数フィットをIAEAとの協力で行った。また電子・イオン衝突励起断面積の評価の国際プロジェクトの一環としてN原子及びN様イオンに対する電子衝突断面積のデータのレビュウ及び評価を行った。炭素原子に対する励起断面積の比較を現在行っている。 太陽フレア-からのX線を観測する人工衛星Yohkohが宇宙科学研究所より1991年8月に打ち上げられ既に多くのデータが得られている。高分解X線分光器により測定されるX線スペクトルの解析のためのデータ評価を行った。即ちS,Ca及びFeのHe様イオンに対する電子衝突励起、電離、再結合データの評価を行った。
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