空間分解型パルスラジオリシス体系を開発することにより、電子線型加速器からのパルス状高エネルギー電子線による被曝線量測定・評価する事を目的として以下の研究を実施した時縊死した。 1)空間分解型パルスラジオリシス体系の開発:購入した光学ステージを用い、従来のナノ秒、マイクロ秒パルスラジオリシス体系を改良することにより分解能約200ミクロンの空間分解型パルスラジオリシス体系を開発した。本体型では、He-Neレーザー光(633nm、543.5nm)を分析光として用い、水和電子およびOHラジカルのいずれも測定が可能である。時間分解能は約6nsである。 2)均質体系中における深度分布測定と理論計算:本体型を用いて均質な水ファントム中における深度分布を測定した。種々の濃度のNaOH水溶液を用いて溶液の実効原子番号、実効原子量、密度を変化させ、それらに対する深度分布の依存性を調べた。また、Tabataらの計算コード(EDMULT)を用いた深度分布計算結果と比較した。その結果、10%程度の密度変化に対する深度分布の変化を明瞭に測定することができた。計算結果との比較において、エネルギースペクトル、角度分布、照射野等に対する依存性の重要さが示された。実験結果の説明には3次元計算が必要であることがわかった。現在、3次元モンテカルロ計算(EGS-4計算コードを使用予定)の準備を進めている。 3)非均質体系における深度分布測定と理論計算:水溶液中に層状吸収体(Al、Cu、Pb)を挿入し、その近傍における深度分布の歪みを測定した。その結果、吸収体前面(電子線の入射側)の位置に特徴的な吸収線量の盛り上がりが見いだされた。深度分布におけるこの盛り上がり部分の計算を現在、実効中である。
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