研究概要 |
地下空間は,地上の空間に比較し,その潜在的特性である恒温性,放射線遮断性,耐振動性などの特徴を有する。しかしながら,地上との換気経路が限定されるため,その閉鎖性が欠点として挙げられ,災害や火災などの事故対策の十分な検討を行う必要がある。これらのことから,地下空間の通気および換気状況の把握は,安全工学上重要と考えられ,地下空間の形状・容積等と換気係数との関係は空間の基礎設計資料となりうるものであり,数値計算による予測解析における妥当性の判定資料としても必要である。 本研究においては,地下風道ネットワークに接して配置され,片側換気状態にある地下空間の漏洩ガスの対流拡散状況をモデル実験によって明らかにし,数値差分法による予測解析モデルの妥当性を調べた。その結果,換気流と密度の異なったメタンなどの可燃性ガスあるいは有害ガスが漏洩した状況下での,空間の形状,容積を種々に変化させ,総合的な地下空間内のレイヤ形成,3次元ガス対流拡散現象および換気特性を実験的に明らかにした。また,地下空間内の換気流量,換気回数,換気流の特性,ガス濃度の変動・周波数特性,非定常的なガスの漏洩に対する応答特性を調べ,地下空間の換気制御に必要なデータを総合的に示した。また、差分法による漏洩ガス対流拡散の数値シミュレーションを実施し,実験値との比較検討を行った結果,正方形に近い空間形状は比較的実験に近い結果となるが,浅い場合や深い空間形状の複雑なガス対流拡散状況に対しての相違が大きいことがわかった。
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