研究概要 |
集団の共同作業を支援するためのグループウェアがもつ最も重要な機能の一つは集団意思決定の支援である.このような集団意思決定支援システムを構築する際に重要なことは,問題発掘や明確化に続いて,構成員が相互理解を深めながら合意形成を促進するようにすることである.集団は通常様々な相異なる価値観をもつ個人で構成される.相異なる価値観をうまく調整して全体として満足のいく解を見いだそうとする方法の一つに多目的決定分析がある.本研究では多目的決定分析のなかで申請者が個人の意思決定を支援する方法として提案した満足化トレードオフ法を集団意思決定支援に拡張し,グループウェアとしてシステム化するものである.集団に調整者がいる場合とそうでない場合をともに考える.調整者がいる場合は階層的意思決定の問題となり,いない場合は自律分散的意思決定の間題となる.ISMやAHPなど他の多目的決定分析の方法をも取り入れ,入出力のヒューマンインターフェイスを工夫し,グループウェアとして実際に利用可能になるようにした.さらに,コミッティマシンとよばれる複合ニューラルネットワークをトランスピュータ上で構築し,集団意思決定のシミュレーションを行い,集団意思決定支援のためのグループウェア開発に対し有益な知見が得られることを示した.他方,集団決定規則の理論分析を行い,現実に適応した集団決定規則を検討した.これらの集団決定規則を先のグループウェアにのせシミュレーションによって実際的観点からもその有効性を検討した.
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