研究概要 |
1.EF-2のジフタマイドに変換されるHis残基の役割 出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)では、ジフタマイドに翻訳後修飾されるHis残基はEF-2の699番目にあたる。このHis残基を他の19個のアミノ酸に置換した変異型EF-2遺伝子を作成、そのプラスミドを導入し、それのみを発現している細胞を遺伝的操作により得ることで、変異型EF-2がin vivoでどのような生理活性をもっているか検討した。細胞増殖を指標にするとこれらは、大きく3つの表現型を示した。一番目は、EF-2としての活性を保持しているものでジフテリア毒素には、非感受性を示すもの、第二は、EF-2としての活性を失っているもの、第三は、EF-2としての活性を失っているのみでなく、野生型のEF-2の活性を防害するものである。 2.ADPリボシル化の生理的意義を探るために、毒素耐性型EF-2(毒素によるADPリボシル化を全く受けない)のみを発現している細胞を作成し、mating,sporulation,germination,growthなどについて詳細に調べたが、現在のところ酵母では、野生型EF-2と比較して大きな差異を検出することはできなかった。 上記の結果、ジフタマイドの生理的意義については未だ明確な解答を得ることはできていない。しかし(1)の結果は、ジフタマイドの構造と機能に関しての新しい情報であり、この点を詳細に検討し生理機能を明らかにする突破口としたい。
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