研究課題/領域番号 |
04834004
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国際経済
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
深尾 京司 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (30173305)
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研究分担者 |
伊藤 隆敏 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30203144)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 経常収支 / スペキュラティブアタック / ベイジアン均衡 / グローバルゲーム / スペキュラティブ・アタック / 外貨準備 / 介入政策 / 複数均衡 / 協調の失敗 / 国際資本移動 / 為替レート |
研究概要 |
現在、ほとんどの先進国では、管理された変動ルート制が採用されており、為替レートおよび国際資本移動は、通貨当局がどのような通貨政策を将来行うかについての人々の期待に決定的に依存している。バンク・ランの理論で明らかにされたようにこのような状況では人々の期待に依存して複数の均衡が存在する可能性が高い。たとえば通貨当局に現行の固定レートを維持する能力がないと多くの投機家が予想すれば、多額のスペキュラティブ・アタックにより固定制は崩壊するであろう。このように期待に応じて複数の均衡が存在する場合、現実にどの均衡が選ばれるかについてはこれまでのところ十分な理論がない。 しかし最近カールソンとヴァン・ダーメは不確実性の導入によりこの問題に一つの答を出した。(グローバル・ゲームの理論)。本研究では、彼らの理論を拡張し、スペキュラティブ・アタック問題に応用した。 その結果、通貨当局の介入可能額や将来の経常収支について人々がそれぞれ個別情報をもつと仮定すると、均衡をユニークに絞ることができた。またその場合、スペキュラティブ・アタックが起きる外貨準備の臨界値は、外国為替市場における取引費用と、外貨準備や国際収支について人々が予想する確率分布に依存するが、非常に単純化して言えば人々の潜在的な投機可能額と経常収支赤字額の和の約半分であることがわかった。これは、外貨準備や国際収支について人々のもつ情報が同一である場合には、外貨準備の臨界値が、人々の潜在的な投機可能額と経済収支赤字額の和に等しいという事実と著しい対比をなす。 各国の通貨当局は、現行の目標レート水準や、目標を達成するため最大限いくらまで介入する予定であるかについて必ずしも明らかにしていないが、このような行動は上記の我々の理論によれば、合理的な政策として理解できる。 また外国為替市場における取引費用が大きくなると、外貨準備の臨界値は低くなることも分かった。これは、スペキュラティブ・アタックを減らすためには、J.Tobinが提案したように取引費用を高めることが有効であることを意味する。 第二論文では80年代後半のわが国経常収支の動きを実証分析し、内外の景気変動、湾岸戦争、金投機等の一時的要因が経常収支に与えた影響について検討した。その結果これらの一時的要因を除いた経常収支黒字は、現実の黒字よりかなり小さいものであることがわかった。
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