研究課題/領域番号 |
04835003
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
惑星科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
下山 晃 筑波大学, 化学系, 教授 (30134084)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 炭素質隕石 / やまと隕石 / マーチソン隕石 / 隕石ジカルボン酸 / 太陽系初生有機物 / 非生物起原有機物 / 隕石有機物 / 光学異性体 |
研究概要 |
本研究は炭素質隕石中に一次生成物である特徴を示す有機化合物を見いだし、それらが原始太陽系星雲中でどのようにして生成したかの一端を解明することを目的として行った。 この目的のため、研究試料としては南極隕石であるやまと-791198隕石と非南極隕石であるマーチソン隕石を選んだ。どちらの隕石もCM2の炭素質隕石である。また、有機化合物としてはカルボン酸を主とした対象物とした。 分析操作は上記の隕石試料をそれぞれ粉末にし、水を溶媒として温和な条件下でカルボン酸を抽出した。抽出液の一部は減圧濃縮後に、BF_3-MeOHで誘導体とし、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)で個々のジカルボン酸の同定と定量を行った。また、抽出液の他の一部は減圧濃縮後にHCl-S-2-BuOHで誘導体とし、GC/MSで不斉炭素をもつジカルボン酸の光学分割と光学異性体比について調べた。 これらの結果、やまと-791198隕石とマーチソン隕石のどちらからも隕石起源であるジカルボン酸を検出した。これらはC_2のシュウ酸からC_9のアゼライン酸の合計21種であった。このうち、直鎖構造のものは8種、分岐のものも8種、不飽和のものは5種であった。 これらのジカルボン酸の中でも特に分岐のものに光学異性体がみられ、それらはメチルコハク酸、エチルコハク酸、2-メチルグルタル酸、2-エチルグルタル酸であり、R/S比はどれもほぼ1であり、非生物的な条件下で生成されたことを示していた。この亊実は同時に検出された他のジカルボン酸も同様に非生物的起源であることを示している。 このような特徴はジカルボン酸が隕石上での初生のものであることを明確に示している。炭素質隕石は始原的なものであり、検出されたジカルボン酸が太陽系初期の生成物であることが明らかになった。
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