研究課題/領域番号 |
04836008
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐賀 信介 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40144141)
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研究分担者 |
宮石 理 愛知医科大学, 加齢医科学研究所, 助手 (60229797)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 老化 / ストレス蛋白質 / コラーゲン結合性 / HSP47 / 線維芽細胞 / 熱ショック反応性 / プロコラーゲン / 分子シャペロン / 熱ショック蛋白質 |
研究概要 |
1.若齢および老齢マウスの尾腱組織と若齢者および老齢者の皮膚より線維芽細胞を培養し、抗HSP47モノクロナール抗体結合Sepharose-4Bを用いた免疫沈降によりHSP47の発現量を調べた。(1)継代初期の細胞群では、マウス、ヒトともに老個体由来細胞におけるHSP47のconstitutiveな合成量は若個体由来細胞と同程度であった。(2)継代初期の細胞群での熱ショックによるHSP47の誘導能(熱ショック反応性)は、若個体由来細胞では熱ショックを加えない状態に対してマウスで1.57倍、ヒトで1.51倍であったのに比して、老個体由来細胞ではマウスで1.21倍、ヒトで1.25倍しか誘導されなかった。(3)一方、継代の進んだマウス細胞では、HSP47のconstitutiveな合成量は個々の細胞毎でのバラツキが大きかったが、全体に低下する傾向を示した。(4)継代数の進んだ細胞群では、熱ショックによるHSP47の誘導能は由来マウスの老若にかかわらず、ほとんどみられなかった。 2.HSP47 cDNA-probeを用いてノザンブロッティングにより熱ショックによる転写レベルでのHSP47発現誘導能を若マウス由来のlow PDL群およびhigh PDL群、老マウス由来のlow PDL群およびhigh PDL群の4群について比較検討した。また、若齢者ヒト線維芽細胞と老齢者ヒト線維芽細胞について同様に熱ショック誘導能を調べた。継代初期では、老若とも熱ショックにより明らかなHSP47 mRNAの誘導を示したが、老マウス細胞は若マウス細胞に比較して誘導能の低下を示した。継代の進んだ細胞では、若マウス細胞、老マウス細胞ともにHSP47 mRNAの熱ショック誘導能を欠如していた。ヒト線維芽細胞でも同様な結果が得られ、老齢者細胞は若齢者細胞に比してHSP47 mRNAの熱ショック誘導能が低下していた。 3.ヒト線維芽細胞におけるI型procollagenの細胞内分布を蛍光抗体法で調べた。老齢者細胞では若齢者細胞に比して熱ショック処理でERに滞留するI型procollagenの量が顕著に増加しており、HSP47の誘導能低下との密接な関連が示唆された。 以上の結果は老化に伴い転写レベルで制御されたHSP47の誘導能低下が生じることを示し、コラーゲンに特異な分子シャペロンとしてのHSP47の誘導能低下が老化に伴う細胞内procollagen processingの変化を引き起こしている可能性を示唆している。
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