研究課題/領域番号 |
04836027
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
藤田 敬子 (財)東京都老人総合研究所, 分子生物学, 助手 (00100131)
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研究分担者 |
丸山 直記 (財)東京都老人総合研究所, 分子病理, 室長 (00115940)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 老化 / 老化マーカー蛋白質 / SMP30 / Regucalcin / レギュカルチン / カルシウム結合蛋白質 / 肝臓 / 腎臓 / cDNA / 老化指標蛋白質 / ラット肝臓タンパク質 / 遺伝子発現 / 加齢 |
研究概要 |
我々は、老齢Ratの肝臓において減少する新しい蛋白質SMP30を発見した。SMP30はAndrogenによる発現制御を受けず雌雄共に老齢ラットの肝臓で減少し、肝可溶性蛋白質の2%と多量に存在するにも関わらず新しい蛋白質と考えられた。さらにSMP30は肝実質細胞と腎臓の近位尿細管のみに強い発現が見られそれらの組織では共に物質の代謝、輸送、解毒等が活発でありその組織特異性にも興味が持たれた。 本研究では、SMP30の生理機能を明かにしその発現制御と老化との関連を解析することを目的にしてSMP30の生理機能の解明の試みと遺伝子発現制御領域の解析のための基礎実験を行った。まずラットSMP30に相同なヒトcDNAの単離を行なった。その結果、ORFを完全に含むクローンを得ることができた。ORFは897bpからなり299アミノ酸残基をコードすると考えられた。ラットSMP30とORFの長さは全く一致しており、アミノ酸レベルで88.6%という非常に高い相同性を示した。genomic Southern hybridizationにおいてSMP30が高等動物に強く保存されていたことも考え合わせてSMP30は高い相同性をもって広く高等動物に存在していることを示唆した。さらにNorthern hybridizationの結果、ヒト正常肝においても強く発現していたことからSMP30の遺伝子発現制御と老化との関連を明らかにすることは加齢における一般的な遺伝子発現制御機構の解明の良いモデルになり得ると考えられた。次に遺伝子発現制御領域解析のための基礎実験としてCAT Assayによる転写調節領域解析のために用いる培養細胞の検討を行なった。肝臓および腎臓の正常ならびに癌化株化培養細胞のいずれにおいてもSMP30の発現はほとんど認められず著しい発現の低下を示した。しかし、ヒト肝癌細胞のHepG2およびHep3Bにおいて僅かではあるが発現が認められた。よってこれらの細胞を転写調節領域解析のために用いることができると考えられた。さらにSMP30は多くの培養細胞系において発現していないことから、逆にこれらの培養細胞系を用いて種々の薬物によるSMP30誘導の実験を組めることが明らかになった。 SMP30はつい最近、山口らによって発見されたCa^<2+>結合蛋白質であるレギュカルチン/Regucalcin(RC)と同一であることが明らかになった。RCはCa^<2+>による種々の酵素活性化を制御する蛋白質として報告されている。よってSMP30/RCが老齢で減少することが老化機構にどのように結びついているのか今後の研究に期待が持たれる。
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