研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、異なるマクロ経済環境のなかで、企業の多角化戦略と業績との関係がどのように変化するのかの実証分析です。分析の対象としては、1980年代以降における日本の繊維産業の上場企業を取り上げています。個別企業に関する時系列データと特定年度のサンプル企業全体に関わる横断的なデータとを組み合わせたパネルデータを用いて、戦略と業績(利益性)との関係を分析した結果として、この関係は、ある特定の戦略が常に有効あるいは無効という固定的なものではなく、企業がおかれている経済環境に依存することが分かりました。また、日本の繊維産業という成熟産業においても技術に対する投資と技術関連分野への多角化が、他のビジネス・モデルに比べて、長期的に高い利益性を保証することが検証されました。海外市場への多角化(輸出と海外投資)と系列関係は日本の繊維企業にとって必ずしも有効な戦略ではないという結果も出ました。ただし、90年代の不況という経済環境のなかでは、系列関係が、海外市場への多角化が企業の業績に与える影響について、プラス効果を持っていることも分かりました。企業集団と融資系列が会社のパフォーマンスにあたえる影響は、予想とは異なって、無効果かマイナス効果をもたらすという結果がでました。要約すれば、四つの主要な結果は、1)企業内部の資源と能力が、ビジネスモデルの選択に決定的な影響をおよぼす2)異なるビジネスモデルが、企業の収益性に決定的な長期的影響をおよぼす3)製品多角化は、マクロ経済環境の変化に応じて、異なる影響を収益性におよぼす4)成熟産業においても、技術への投資と技術関連分野への多角化が、収益性にプラスの影響をおよぼす。(成長産業において見られた結果をサポートする。)
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すべて 雑誌論文 (8件)
Industrial and Corporate Change vol.14, Issue.6
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International Conference on Business, Economics and Management Conference Proceedings Vol.2
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Asia Pacific Tech Monitor (United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific) (印刷中)
Industrial and Corporate Change (印刷中)
Academy of Management Annual Meeting Conference Proceedings (印刷中)
Journal of Textile, Apparel, Technology and Management Vol.3, Issue4
ページ: 1-13
Asia Academy of Management Conference Proceedings 4(Cd-rom)
Asian Business & Management Issue No:5.3.(発表予定)