研究概要 |
昨年度の後半から始めた,凸曲面で全ての測地線が自己交差しないことと,4つの合同な三角形の面からなる4面体であることとは同値なことを示そうとする研究の細かい部分の証明をつめ,現在,論文にまとめている.また,その際に使った,単純閉測地線の長さと,そこから最も離れた点までの距離との積は,曲面の面積の2倍以下となることを用いて,凸曲面におけるいろいろな不等式を示すことが出来,これに関しては,8月に論文として出版された. 一昨年度に得られた2つの結果については,1つ目の,退化した凸曲面においてのSteinhauss型の問題についての研究は,定幅凸領域の場合の性質も加えて,共同研究者のJ.Rouyer氏を8月に招聘して,論文にまとめ投稿中である.2つ目の前半部分は,昨年度に終わっており,(4辺形を用いる比較定理を作り,凸曲面における最遠点となりえる場所を特徴付ける問題に関しては,論文を仕上げて現在投稿中である.)後半部分の凸多面体の場合に曲率がπ以上の頂点は必ずどこかの点の最遠点となることについては,滑らかな曲面への拡張を加え,論文にまとめ,投稿中である.更に,そのような点が3つ以上ある場合は,その中のどれかは,直径を与える2点の一つになることを示すことも出来,滑らかな場合の設定を現在検討中である. J.Rouyer氏を8月に招聘した際に三人で新たに,凸曲面におけるBaireカテゴリー的観点からの多くの結果のAlexandrov曲面への拡張を検討を始め,いくらかの部分的結果を得ており,今後の発展が期待される.
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