研究課題/領域番号 |
04F04255
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
ヨーロッパ語系文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
沼野 充義 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授
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研究分担者 |
KIM H. 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2006年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | ヨシフ・ブロツキー / 民族的アイデンティティ / ユダヤ系作家 / バイリンガリズム / 現代世界文学 / ロシア詩 / ロシア現代詩 / メタポエトリー / 亡命詩学 / ミハイル・バフチン / 他者 / ポリフォニー / ユーリイ・ロトマン |
研究概要 |
詩人における民族的アイデンティティと普遍性 ソ連で生まれたユダヤ系のロシア語詩人でありながらアメリカの市民権を得てアメリカで死んだブロツキーの生涯は、自然に国境および民族的アイデンティティーの問題へと私たちを向かせる。まずはロシアにおけるユダヤ系作家の系譜の中でブロツキーを位置付けた。 現代ロシア詩人の中でユダヤ系のロシア語作家としてはバーベリやマンデルシュターム、パステルナークなどを挙げることができるが、バーベリは明確にユダヤ的な作家で、パステルナークはどちらかと言えばユダヤ性とは無縁の作家であり、マンデルシュタームはちょうどその中間的な位置を占めていると言える。そこでブロツキーについて分析したところ、どちらかというと「世界文化」を志向しながらも自らの「ユダヤ性」の自覚を持ち続けたマンデルシュタームの方に近いことが明らかになった。つまり、ブロツキーにおいてユダヤ性は、偏狭な民族的な意味でのユダヤやロシアの枠を超えて、普遍的な知的広がりを持っていたということが明らかになった。 またロシア人ではないがロシア語で作品を書いているロシア語の作家、例えば、チュヴァシ人(ロシアのヴォルガ川中流に住むチュルク系少数民族)であるゲンナジー・アイギーとの比較については、今回の研究では、民族的アイデンティティーの問題より、母語ではない言語で詩を書くというバイリンガリズムの方に重点が置かれた。チュヴァシ語が母語であるアイギーが書いたロシア語の詩は自然で美しいながらも、そのロシア語が異化されてしまうという独特な現象が発見されたが、それはブロツキーの英詩の場合と共通しており、またこの二人の詩人とも民族性を超えて形而上学的で哲学的な抒情詩を書く点で非常に類似しているという結論に至った。
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