研究概要 |
DNA/RNA/タンパク質系の相互作用解明法開発のために、以下の研究を行った。 1.任意の位置にデオキシオキザノシン(dOxo、塩基部オキザニン、Oxa)をもった20量体程度のDNAオリゴマー数種類を高い収率で化学合成した。 2.合成したDNAオリゴマーのTmおよびNMR測定を行い、dOxoの全二重鎖構造への影響を検討した。Tmは減少し局所的二重鎖の緩みが観察されたが、NMRの結果からは緩みは全構造にはほとんど影響なく、B型を維持することを明らかにした。 3.DNAポリメラーゼ鎖仲長反応おいては局所構造の緩みが影響し、dOxo向かい側にCおよびTが導入された。他のDNA鎖に関連する酵素によるdOxo含有DNAオリゴマーの認識について検討を行った。制限酵素(Bam HI,EcoRI,Bgl II,Hind III,EcoRV,Xba I and Xho I)はすべてOxaをGuaと認識し、特異的塩基配列で切断を行った(論文作成中)。T4DNAリガーゼもOxaをGuaと認識して鎖結合反応を行った。一本鎖の場合、T4DNAkinase、Nuclease S1、Exonuclease Iも酵素活性への影響を受けなかった。この結果は、Oxa含有DNAオリゴマーを釣り針にすることは生命現象に影響しないことを示している。 4.DNA認識酵素の例としての既知修復酵素との相互作用を解析し、認識過程でDNAオリゴマー中のOxaと酵素間に架橋が生じることを確認した。修復機構としては、塩基除去よりもヌクレオシド除去機構が働くことが示唆された。 6.釣り針を固定化するプラットフォームを作成し、新規アミノ基導入プラットフォームの構築とOxaの反応によるDNAオリゴマー固定化法を開発した(論文発表)。 以上、dOxo含有DNAオリゴマーはDNA、RNA、タンパク質相互作用研究の釣り針として優れた可能性をもつことを明らかにした。
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